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Gage BF et al The effect of stroke and stroke prophylaxis with aspirin or warfarin on quality of life
結論 脳卒中と脳卒中予防治療による患者のQOLへの影響の予測値(utility)は,症例によるばらつきが大きいことが認められ,また重度脳卒中発症後のQOLは多くの患者にとって死亡と同等またはそれ以上であることが示された。本結果から,脳卒中予防の治療選択には,積極的に患者個々の希望を採り入れるべきであることが強調された。

目的 心房細動(AF)患者において,脳卒中および脳卒中予防による Quality of Life(QOL)への影響を以下の3点で検討:脳卒中の重症度,現在の健康状態(AFの病状),抗凝固療法(warfarin)と抗血小板療法(aspirin)。
デザイン -
セッティング 多施設(2施設:Veterans Affairs Palo Alto Health Care SystemおよびStanford University Hospital)。アメリカ。
期間 1995年6月登録終了。
対象患者 83例。年齢≧50歳。英語読解能力を有し,回復病棟に入院中でないAF患者。Veterans Affairs Palo Alto Health Care System(75例)およびStanford University Hospital(8例)。
治療法 脳卒中既往の有無,warfarinまたはaspirin投与歴などを記録後,脳卒中レベル[軽度(modified Rankin Scale 1,2),中等度(同3,4),重度(同4,5)],現在のAFの病状,脳卒中予防治療(warfarinまたはaspirin投与)についてインタビューし,utility(QOLの基準値)を評価。
warfarin療法中の生活制限として,4週ごとの採血と運動および過度のアルコール摂取を控えることを説明。utilityはtime tradeoff methodで測定(中等度脳卒中の測定にはstandard gamble methodも使用)。utilityは,0=「死と同等」~1=「現在の健康状態と同等(現在の健康状態の測定では『理想の健康状態』)」として評価。
脳卒中のutilityは,「通常の健康状態での短期生存」あるいは「脳卒中発症後の長期生存」の2者択一により測定[選択肢例:「通常の健康状態で3年生存」または「中等度の脳卒中発症後10年生存」。前者の生存年数(10年,0年,5年,3年,4年)を変更して質問を繰り返す]。
warfarinとaspirin療法のutilityは,「1年間の治療継続」と「ある期間の昏睡状態+治療なし」の比較によりQOLを測定(選択肢例:「52週間warfarinを毎日投与」または「1週間の昏睡状態+51週間のwarfarin投与のない同等の健康状態」)。
追跡完了率 解析可能は70例(84.3%)。解析除外は13例(16%)。
【脱落理由】(除外理由)一部質問が理解不能7例,インタビュー完了不可5例など。
結果

●評価項目
インタビューが完了しなかった患者では,解析対象症例に比し高齢で(70.1歳 vs 75.1歳,p=0.03),college attendanceのない患者が多かった(p=0.04)。
脳卒中のtime tradeoff utility(中央値)は,軽度0.94,中等度0.07,重度0.0。utilityは脳卒中レベルが重篤になるにしたがって低減したが(p<0.001),各レベルでばらつきが認められた。軽度脳卒中では約半数(34例)が≧0.95であったが,残りは<0~0.94までほぼ同等に分散。中等度脳卒中は≦0が多い一方でutility 1に近い値も多かった。同様に,重度脳卒中症例の7例(10%)で>0.5,58例(83%)で≦0であった。また,中等度脳卒中のutilityにtime tradeoff methodとstandard gamble methodの手法による相違は認められなかった(p=0.13)。
warfarinおよびaspirin療法のutility(中央値)は各0.997,1.0と高く,両薬剤の比較では,warfarin療法のutilityを初回のインタビューで0.5とした1データ(再インタビュー時には1.0)を除いた解析においてもaspirin療法で有意に良好であった(p<0.001)。warfarin療法のutilityは43例(62%)で≧0.995であったが,11例(16%)では≦0.975であった(aspirin療法の≦0.975は1例のみ)。
脳卒中既往例(20例)と非既往例(50例)における脳卒中utilityのサブ解析では,既往例では軽度0.95,中等度0.0,重度0.0,非既往例では各0.94,0.12,0.0と有意差は認められなかった(p≧0.25,脳卒中の3レベル)。また,warfarin療法のutilityは,warfarin投与歴を有する症例(34例)で0.997,投与歴を有さない症例(36例)では0.998と同等であり(p=0.28),aspirin療法においても,aspirin投与歴を有する症例(28例)および投与歴を有さない症例(42例)ともに1.0と同等であった(p=0.38)。
初回のインタビューを完了した49例中,23例において再インタビューを実施(1.3~28週間後:中央値6.9週間後)。初回時と再インタビュー時におけるutilityに大きな差は認められなかった[絶対差:軽度脳卒中0.032(90%CI 0-0.578),中等度0.063(0-0.638),重度0(0-0.265),warfarin療法0.001(0-0.045),aspirin療法0.0003(0-0.012)]。

●有害事象
表記なし。

文献: Gage BF, et al. The effect of stroke and stroke prophylaxis with aspirin or warfarin on quality of life. Arch Intern Med 1996; 156: 1829-36. pubmed
関連トライアル ACTIVE W, AFASAK 2 1999, Gage BF et al, JAST, SPAF I-III 1999, SPAF III 1998, SPAF III 1998, TPT
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