抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
Alabama Registry of Myocardial Ischemia
結論 本試験から,primary PTCAを施行した急性心筋梗塞(AMI)患者と血栓溶解療法を実施した患者の患者背景は類似しており,かつ臨床アウトカムも同等であることが示された。

目的 primary PTCAまたは血栓溶解療法(静脈内注入)を施行した急性心筋梗塞(AMI)患者の背景と臨床アウトカムを比較検討。
デザイン -
セッティング 多施設(12病院)。アメリカ。
期間 追跡期間は1年以上。登録期間は1990年9月~1992年6月。
対象患者 348例。Alabama Registry of Myocardial Ischemiaに登録されたAMI患者1,170例(心筋虚血によると思われる胸痛の発現から30分~12時間以内に参加施設のCCU,ICU,カテーテル室に入室)のうち,心電図所見にて隣接した2誘導以上でST上昇(≧0.1mV)が認められ,入院から6時間後までにprimary PTCAまたは血栓溶解療法(静脈内注入)を実施した症例。
【除外基準】昏睡患者。
治療法 6時間後までに実施した最初の再灌流療法の種類によって患者を分類:primary PTCA群(118例:登録患者の10%)と血栓溶解療法群(230例:登録患者の19%)。
primary PTCA群:術前にaspirin 325mg投与,その後325mg/日を継続投与。術前にheparin 5,000~10,000Uを投与,術中は活性化凝固時間が>300秒を維持するよう投与し,その後は活性化部分トロンボプラスチン時間が60~90秒を維持するよう2~3日間投与。バルーン拡張時にnitroglycerin 100~200μgを冠動脈内注入。
血栓溶解療法群:血栓溶解薬の静注時にaspirin 325mgを経口投与,以後325mg/日を継続投与。血栓溶解薬の初回静注時にheparin 5,000Uを静注,その後,活性化部分トロンボプラスチン時間が60~90秒を維持するよう2日以上投与。
血栓溶解薬としては,rt-PAの使用頻度が最も高かった(175例)。また,血栓溶解療法群のうち,参加施設に入院後,静注を開始された144例は入院後血栓溶解療法群とした。
追跡完了率 1年後の追跡完了率は98%(342例)。
【脱落理由】表記なし。
結果

●評価項目
ベースライン時の患者背景は,primary PTCA群および血栓溶解療法群できわめて類似していた。
入院から治療開始までの平均時間は,primary PTCA群に比し入院後血栓溶解療法群で40分短縮(104分 vs 64分,p<0.001),胸痛発現から治療開始までの時間も1時間以上短縮した(252分 vs 184分,p<0.001)。血栓溶解療法群のうち,24時間以内に冠動脈造影およびPTCAを施行した症例は各44%,18%,全入院期間では90%,49%。
入院期間中のほとんどのイベント発生率は両群で同等であったが,輸血はprimary PTCA群に比較して血栓溶解療法群で有意に増加した(5.9% vs 16%,p<0.01)。また,1年以上追跡可能であった342例の検討では,1年後の生存率(88% vs 91%,p=NS)および再梗塞を発症していない生存例の割合(85% vs 88%,p=NS)は両群で同等であった。
多変量ロジスティック回帰分析によるベースライン時の患者背景の補正後では,primary PTCAは1年後の死亡(p=0.19),1年後の死亡または再梗塞(p=0.179)の有意な予測因子ではなく,PTCAがそれらに有意な影響を与えるというエビデンスは得られなかった。

●有害事象
脳卒中は血栓溶解療法群では認められなかったが,primary PTCA群で施行翌日に心原性ショック患者1例が発症した。消化管出血はprimary PTCA群ではみられず,血栓溶解療法群で2.6%に発生。その他,うっ血性心不全,心原性ショック,心停止またはDCショック,再発性狭心症などの発症率に関しても両群で有意差は認められなかった。

文献: Rogers WJ, et al for the Alabama Registry of Myocardial Ischemia Investigators. Comparison of primary angioplasty versus thrombolytic therapy for acute myocardial infarction. Am J Cardiol 1994; 74: 111-8. pubmed
関連トライアル DANAMI, NRMI-2, PAMI
関連記事