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Barbash GI et al Randomized controlled trial of late in-hospital angiography and angioplasty versus conservative management after treatment with recombinant tissue-type plasminogen activator in acute myocardial infarction
結論 rt-PA静注による血栓溶解療法後の急性心筋梗塞(AMI)患者では,心カテーテル法を72時間以降に実施した場合においても,保存的治療は侵襲的治療より好ましいことが示された。

目的 rt-PA静注による血栓溶解療法を実施した急性心筋梗塞(AMI)患者において,72時間以降の侵襲的治療と保存的治療の有効性を比較検討。
デザイン ランダム化,intention-to-treat解析。
セッティング イスラエル。
期間 追跡期間は平均19ヵ月(侵襲的治療群),平均21ヵ月(保存的治療群)。
登録期間は1987年12月~1989年1月。
対象患者 201例。rt-PA静注による血栓溶解療法を実施したAMI患者。平均年齢57歳。男性85%。年齢<73歳。重度の胸痛が>30分~4時間(平均2.0時間)持続し,心電図所見にて隣接した2誘導以上でのST上昇(≧0.1mV)が認められ,左脚ブロックが認められない症例。うっ血性心不全の既往または心臓外科手術の施行歴がなく,DBP<120mmHg,末期症状の疾患の既往または出血傾向(経口抗凝固療法,最近の外傷,出血の既往,過去6ヵ月以内の脳血管イベント既往)のない症例。
治療法 血栓溶解療法後,侵襲的治療群(97例)と保存的治療群(104例)にランダム化。2ヵ月単位で侵襲的治療期間(1987年12月,1988年3~4月,7~8月,11~12月)または保存的治療期間(1987年12月,1988年1~2月,5~6月,9~10月,1989年1月)を設定し,それぞれの治療期間に登録された患者を侵襲的治療群または保存的治療群にランダム化した。
血栓溶解療法:rt-PA 120mgを6時間で静注(10mgボーラス投与後,50mgを1時間,20mgを1時間,その後は10mg/時で4時間静注)。同時にheparin 5,000IUボーラス投与後,25,000IU/24時間(活性化部分トロンボプラスチン時間をベースライン時の1.5~2.0倍となるよう用量調整)で5日以上継続(以下の場合を除く:PTCAで成功が得られ24時間以降のheparin投与を中止した場合,出血の発生,退院前の緊急CABG施行までheparin投与が継続された場合)。
侵襲的治療群:入院後,直ちに救急治療室または集中治療室にてrt-PA静注を開始。入院後72時間以降に全例にカテーテル法による冠動脈造影を実施。
保存的治療群:従来の治療を実施。心筋虚血が認められた場合(梗塞後狭心症または血行動態の不安定,あるいは退院前の運動負荷試験での重度の虚血)にのみカテーテル法による冠動脈造影を実施。
冠動脈造影で梗塞関連動脈の内径に>50%の狭窄が認められる場合,PTCAを施行(以下の場合を除く:狭窄が重度でない場合,その他の理由でPTCA施行が不適切である場合,3枝病変あるいは左主幹動脈疾患または同等の冠動脈疾患を有しCABGの適応となる場合)。
aspirin 250mg/日を24時間以降から投与開始し,追跡期間を通じて継続投与。必要に応じて狭心症治療薬および抗うっ血薬を投与。24時間後までに予防的にlidocaine 2gを静注。
放射性心室造影を入院時(平均1.2日後),退院時,8週後に実施し,左室駆出率(LVEF)を評価。
追跡完了率 表記なし。
結果

●評価項目
侵襲的治療群では92例に冠動脈造影が実施され(平均5日後),49例にPTCA,11例にCABGを施行。保存的治療群では40例に早期の心筋虚血が認められ,39例(梗塞後狭心症21例+退院前運動負荷試験陽性16例+それ以外2例)で冠動脈造影が実施され(平均11日後),20例にPTCA,4例にCABGを施行。
入院中の再梗塞率は侵襲的治療群16%(15例),保存的治療群10%(10例)と侵襲的治療群で多かったものの両群間に有意差はみられず(p=0.15),退院時または8週後におけるLVEFにも差はみられなかった[退院時:50%(89例)vs 49%(98例),8週後:51%(86例)vs 51%(89例)]。
平均追跡期間10ヵ月時点での死亡率は,侵襲的治療群8%(8例),保存的治療群4%(4例)と侵襲的治療群で保存的治療群の2倍に上昇したが,有意差には至らなかった(p=0.15)。しかし,カテーテル法実施(72時間後)以降の死亡例での検討では有意差が認められた(5/94 vs 0/100,p=0.02)。
再入院率は,侵襲的治療群に比して保存的治療群で有意に高かった(16% vs 29%,p=0.04)。また,両群とも狭心症の既往を有する症例で,有さない症例に比し再入院率が有意に上昇し(侵襲的治療群:33.3% vs 10.1%,保存的治療群38% vs 20%:p=0.005),多変量解析でも狭心症の既往は再入院に関する唯一の独立した予測因子であった(相対リスク3.87,p<0.01)。

●有害事象
表記なし。

文献: Barbash GI, et al. Randomized controlled trial of late in-hospital angiography and angioplasty versus conservative management after treatment with recombinant tissue-type plasminogen activator in acute myocardial infarction. Am J Cardiol 1990; 66: 538-45. pubmed
関連トライアル DANAMI, DANAMI-2 8-year outcome, ECSG-RTPA, García E et al, MATE, Mayo Coronary Care Unit and Catheterization Laboratory, NRMI-2, PACT, PAMI, SWIFT, SYNERGY angiography, TACTICS-TIMI 18 1998, TAMI 1 1987, TAMI 5 1991, TAMI 5 1991, TAMI 6, TIMI II 1989, TIMI II 1992, TIMI II 1993, TIMI IIA 1990, TIMI IIIB 1994, TIMI IIIB 1995, TRIC, VANQWISH, Zijlstra F et al
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