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Ellis SG et al Effect of 18- to 24-hour heparin administration for prevention of restenosis after uncomplicated coronary angioplasty
結論 待機的冠動脈形成術で成功が得られ,その後の大きな解離がみられない患者において,凝固時間を延長させ,出血の増加傾向をもたらす用量のheparin(18~24時間)持続静注は,再狭窄の抑制効果を示さなかった。

目的 待機的冠動脈形成術で成功が得られ,その後大きな解離が認められない患者において,抗凝固薬heparinの18~24時間持続静注のリスク(出血性合併症)とベネフィット(再狭窄抑制)を検討。
デザイン ランダム化,intention-to-treat解析。
セッティング アメリカ。
期間 追跡期間は6ヵ月。登録期間は1986年1月~12月。
対象患者 416例(469部位)。待機的冠動脈形成術で成功が得られ,大きな解離が認められない患者。
【除外基準】カテーテル室における急性閉塞,血管造影所見における広範囲の動脈解離,施行前の完全閉塞,施行前後の血管造影所見上の血栓,出血のリスクなど。
治療法 冠動脈形成術施行直後に臨床状態が安定(止血)した患者を,heparin投与群(208例,224部位)とdextrose投与群(208例,245部位)にランダム化。
heparin群:2,000~2,500Uボーラス静注後,800~1,200U/時で18~24時間持続静注(部分トロンボプラスチン時間を正常の1.5~2.5倍になるよう用量調整)。
dextrose群のうち,血栓性と思われる心虚血が認められた症例にはheparin投与を許可。また,heparin群で出血が発現した症例では投与中止を許可。
冠動脈形成術施行中に,heparin 10,000Uボーラス静注後,5,000U/時ボーラス静注(最大20,000U),nitroglycerin舌下錠0.4mg,またはnifedipine舌下錠10mgを投与。バルーン挿入時に,選択的にnitroglycerin 200μgを冠動脈内注入。
術後36時間までaspirin 80~1,500mg/日,硝酸薬,Ca拮抗薬を投与。必要に応じてdipyridamole 225mg/日を併用。退院後は,aspirin 80~975mg/日(6ヵ月間)またはdipyridamole,必要に応じてCa拮抗薬およびβ遮断薬を投与。
4~6ヵ月後(平均180日後)に冠動脈造影にて評価。
追跡完了率 表記なし。
結果

●評価項目
男性患者の割合[heparin群74.0%(154例)vs dextrose群74.5%(155例),p=NS)],冠動脈形成術施行後の断裂または解離(29.9%:67例 vs 30.2%:74例,p=NS),施行後の狭窄率>35%症例の割合(31.3%:70例 vs 29.8%:73例,p=NS)に関して,群間差は認められなかった。また,投与期間中の部分トロンボプラスチン時間の平均値は,heparin群56秒,dextrose群27秒と有意差がみられた(p<0.001)。
heparin静注を16時間以上継続し,かつ4~6ヵ月後に冠動脈造影を実施した症例は,heparin群58.4%,dextrose群64.5%。うち,再狭窄は各群41.2%,36.7%と両群間に差はなし(p=NS)。

●有害事象
拡張部位における急性閉塞はheparin群1.8%,dextrose群2.4%(p=NS)。重度の出血またはヘモグロビン値の3mg/dL以上の低下は各群8.2%(重度の出血2例,ヘモグロビン値の低下17例),3.8%(各0例,8例)に認められた(p=0.09)。

文献: Ellis SG, et al. Effect of 18- to 24-hour heparin administration for prevention of restenosis after uncomplicated coronary angioplasty. Am Heart J 1989; 117: 777-82. pubmed
関連トライアル ERA, STARC
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