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FRISC II 1999 FRagmin and Fast Revascularisation during InStability in Coronary artery disease II
結論 不安定冠動脈疾患(CAD)患者におけるdalteparin長期投与は,投与開始後1ヵ月間の死亡,心筋梗塞(MI),血行再建術施行率を有意に抑制したことから,侵襲的治療の待機患者における早期のイベント発生リスク減少に有効であることが示された。また,こうした患者においては早期の侵襲的治療が推奨される。

目的 A)不安定冠動脈疾患(CAD)患者における非侵襲的治療群において,抗凝固薬低分子量heparin(LMWH:dalteparin)の長期投与の有効性を検討。
一次エンドポイント:死亡+心筋梗塞(MI)の複合。
B)不安定CAD患者において,早期の侵襲的治療と非侵襲的治療の効果を比較検討。
一次エンドポイント:6ヵ月後の死亡+MIの複合。
デザイン ランダム化,プラセボ対照,二重盲検(dalteparin vs プラセボ:A),オープン(侵襲的治療 vs 非侵襲的治療:B),factorial,intention-to-treat解析。
セッティング 多施設(北欧3ヵ国,58施設)。ノルウェー,スウェーデン,デンマーク。
期間 追跡期間は6ヵ月。
登録期間は1996年6月~1998年8月。AMI様の虚血症状(心筋虚血)を有し,最後の発症から48時間以内の症例。
対象患者 A)2,267例。67歳(中央値)。男性68%。B)2,457例。66歳(中央値)。男性70%。
【除外基準】出血リスクの増加,貧血,過去24時間以内の抗血栓療法施行,過去6ヵ月以内の血行再建術施行歴または施行予定,その他の急性または重篤な心疾患,腎または肝不全,心臓外科手術施行歴,年齢>75歳。
治療法 全例にdalteparin 120IU/kg(最大1万IU)を12時間ごとに5日以上皮下注(オープンラベル)。同時にaspirin(初回投与量300~600mg,その後は75~320mg/日)継続投与。禁忌でない限りβ遮断薬を投与し,必要であれば硝酸薬,Ca拮抗薬を投与。脂質低下薬,ACE阻害薬,糖尿病治療薬の投与に関してはガイドラインに沿った。
オープンラベル治療開始後72時間以内に,1)dalteparin投与+非侵襲的治療群,2)プラセボ投与+非侵襲的治療群,3)dalteparin投与+侵襲的治療群,4)プラセボ+侵襲的治療群にランダム化。
A)dalteparin投与群[1,140例:<80kgの女性,<70kgの男性は1万IU/日(分2),それ以上の体重では1万5,000IU/日(分2)皮下注]とプラセボ群(1,127例)にランダム化。治療は3ヵ月継続。
B)侵襲的治療群(1,222例)と非侵襲的治療群(1,235例)にランダム化。
侵襲群:オープンラベル治療開始から7日以内に冠動脈造影を実施し,血管径の70%以上の閉塞がみられる全例に血行再建術を推奨。CABG(3枝または左主冠動脈病変),PTCA(1~2枝疾患)。非侵襲群はA)と同様。
追跡完了率 A)脱落率は7.1%(162例)。B)脱落率は6.8%(168例)。
【脱落理由】A)患者の希望(63例),有害イベント(52例),死亡(16例),その他(31例)。B)表記なし。
結果

●評価項目
A)二重盲検治療は2,105例(dalteparin群1,049例,プラセボ群1,056例)で実施。
30日後の一次エンドポイント発生率はdalteparin群3.1%,プラセボ群5.9%と有意差がみられたが(リスク比0.53,95%CI 0.35-0.80,p=0.002),3ヵ月後の一次エンドポイントは有意ではなかった [dalteparin群70例(6.7%)vs プラセボ群85例(8.0%),リスク比0.81,95%CI 0.60-1.10,p=0.17]。全コホートでの3ヵ月後の死亡,MI,血行再建術施行率は,29.1% vs 33.4%(リスク比0.87,95%CI 0.77-0.99,p=0.031)であった。最初の効果は6ヵ月後には持続しなかった。
B)一次エンドポイント発生率は,侵襲群9.4%,非侵襲群12.1%と有意であった(リスク比0.78,95%CI 0.62-0.98,p=0.031)。MIのみは侵襲群で有意に減少したが(7.8% vs 10.1%,0.77,0.60-0.99,p=0.045),死亡率の低下に有意差は認められなかった(1.9 vs 2.9,0.65,0.39-1.09,p=0.10)。狭心症の症状および再入院は侵襲群で非侵襲群の約半数であった。
非侵襲群における6ヵ月後のイベント発生率は,dalteparin群でプラセボ群に比し低下がみられた(リスク比0.89,95%CI 0.65-1.20)。侵襲群においてはdalteparin群とプラセボ群間に有意差はなかった(0.94,0.66-1.34)。多変量ロジスティック回帰分析では,6ヵ月後のdalteparin投与およびプラセボ投与と侵襲的治療および非侵襲的治療の間に交互作用は認められなかった。

●有害事象
A)二重盲検治療期間において,dalteparin群で大出血および軽度の出血リスクの増加がみられた(各3.3% vs 1.5%,23.0% vs 8.4%)。全脳卒中の発症率は両群間に差はみられなかった(1.0% vs 0.8%)。また,dalteparin長期投与は血小板減少症,アレルギー反応,骨折などのリスクを増加させなかった。

文献: [main] A)FRagmin and Fast Revascularisation during InStability in Coronary artery disease (FRISC II) Investigators. Long-term low-molecular-mass heparin in unstable coronary-artery disease: FRISC II prospective randomised multicentre study. Lancet 1999; 354: 701-7.
[main] B)FRagmin and Fast Revascularisation during InStability in Coronary artery disease (FRISC II) Investigators. Invasive compared with non-invasive treatment in unstable coronary-artery disease: FRISC II prospective randomised multicentre study. Lancet 1999; 354(9180): 708-15. pubmed
関連トライアル After Eighty study, ESSENCE 1997, ESSENCE 2000, FRAMI, FRAX.I.S, FRIC, FRISC, FRISC II 2000, GUSTO IIb 1996, ICTUS 5-year outcomes, OASIS-2, PCI-CURE, PRISM, PRISM-PLUS 1998, RISC 1990, RISC 1991, TACTICS-TIMI 18 2001, TIMI 11B, TIMI IIIB 1994, TIMI IIIB 1995, TRIC, TRIM
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