抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
HOT Hypertension Optimal Treatment
結論 高血圧症患者に対する積極的な降圧治療により,心血管イベント発生率が有意に低下し,本試験結果から至適降圧レベルはDBP 82.6mmHgであることが示された。さらに,降圧治療へのaspirin追加投与は主要な心血管イベント,特に全心筋梗塞(MI)抑制に有効であり,脳卒中または致死性出血には影響をおよぼさなかった。またaspirin投与により非致死性の大出血が増加した。

目的 高血圧治療における至適降圧レベルの決定と,心血管合併症予防への抗血小板薬aspirinの有効性を検討。
エンドポイント:全(致死性および非致死性)心筋梗塞(MI),全脳卒中,心血管死。
デザイン PROBE,単盲検(降圧治療),二重盲検(aspirin)。
PROBE:Prospective, Randomized, Open, Blinded-Endpoint
セッティング 多施設(26ヵ国)。
スウェーデン,イタリア,カナダ,ドイツ,アメリカ,フランス,ベルギー,フィンランド,デンマーク,ノルウェー,イギリス,イスラエル,スペイン,オーストリア,ギリシャ,スイス,オランダ,中国,アルゼンチン,ハンガリーなど。
期間 追跡期間は平均3.8年(3.3~4.9年)。
1992年10月登録開始,1994年4月ランダム化終了,1997年8月追跡終了。
対象患者 18,790例。50~80歳(平均61.5歳)。DBP値が100~115mmHgの本態性高血圧症例。
治療法 対象を,降圧目標値DBP≦90mmHg(6,264例),≦85mmHg(6,264例),≦80mmHg(6,262例)にランダム化。さらに,aspirin 75mg/日投与群(9,399例)とプラセボ群(9,391例)にランダム化。降圧薬は,Ca拮抗薬felodipineを第一選択とし,降圧目標値に達するまでさらに4段階の降圧治療を追加。血圧は試験開始後3ヵ月,6ヵ月,その後年2回ずつ外来受診時に測定。
追跡完了率 追跡不完了例は491例(2.6%)。
【脱落理由】追跡訪問なし(130例)など。
結果

●評価項目
試験終了時,78%がfelodipineを基本薬とし,41%がACE阻害薬,28%がβ遮断薬を併用。DBPは治療前の平均105mmHgから,各群85.2,83.2,81.1mmHgまで下降し,降圧度も各20.3,22.3,24.3mmHgであった。主要な心血管系イベント発生が最も抑制されたのはDBP 82.6mmHg,心血管死が最も減少したのはDBP 86.5mmHgまで降圧した場合であった。心血管イベントの発症は3群間で有意差がなく,DBPの80mmHgまでの降圧は安全であることが示された。また,aspirin投与群とプラセボ群における降圧達成値に有意差は認められなかった(142.0/83.2 vs 141.4/82.9mmHg)。
ベースライン時における糖尿病合併例(1,501例)の解析では,≦80mmHg群で心血管イベントが51%も抑制され,≦90mmHg群に比し有意差がみられた(p=0.005)。また,虚血性心疾患を有していた3,080例では降圧目標値が下がるにしたがって,主要な心血管イベント発生率も低下する傾向がみられ,全脳卒中は有意に抑制された(p=0.046)。
aspirinの有効性に関しては,主要な心血管イベント発生はaspirin群8.9件/1,000人・年,プラセボ群10.5件/1,000人・年とaspirin群で15%有意に抑制され,全MIも36%減少したが(p=0.002),脳卒中への影響はみられなかった。また,心血管死および総死亡率の減少も有意ではなかった(各5%:p=0.65,7%:p=0.36)。

●有害事象
致死性出血はaspirin群で7例,プラセボ群では8例と両群で同等であったが,非致死性の大出血はaspirin群で有意に多かった(129例 vs 70例,リスク比1.8,p<0.001)。軽度の出血もまたaspirin群でプラセボ群に比し1.8倍であった。

文献: [main] Hansson L, et al for the HOT Study Group. Effects of intensive blood-pressure lowering and low-dose aspirin in patients with hypertension: principal results of the Hypertension Optimal Treatment (HOT) randomised trial. Lancet 1998; 351: 1755-62. pubmed
関連トライアル ACE, HOT post-hoc subgroup analysis, PPP, TIPS, WHS
関連記事