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MASS Medicine, Angioplasty or Surgery Study
結論 左前下行枝近位の重度の狭窄を伴う1枝病変を有する安定狭心症患者において,CABG施行による積極的治療は,PTCAおよび薬物療法に比し,3年後のイベント抑制効果が高いことが示された。一方,死亡または心筋梗塞(MI)抑制に関しては,いずれの治療群でも同等であった。

目的 左前下行枝近位の重度の狭窄を伴う1枝病変を有する安定狭心症患者において,薬物療法,バルーン冠動脈形成術(PTCA),バイパスグラフト術(CABG)の有効性を比較検討。
一次エンドポイント:心臓死+心筋梗塞(MI)+血行再建術を要する難治性狭心症。
デザイン ランダム化,intention-to-treat解析。
セッティング 単施設。ブラジル。
期間 追跡期間は平均3.5年。登録期間は1988~1991年。
対象患者 214例。心室機能が正常で,左前下行枝近位に狭窄率>80%の1枝病変を有する安定狭心症患者。
【除外基準】不安定狭心症,梗塞の既往,重篤な弁疾患,心筋症,左室不全,冠動脈インターベンションの施行歴,開胸手術の施行歴など。冠動脈造影上の除外基準:完全閉塞,病変の長さ>12mm,石灰化,重篤な湾曲および左主冠動脈の狭窄など。
治療法 血行再建術施行の適合を確認後,CABG群(70例),PTCA群(72例),薬物療法群(72例)にランダム化。
CABG群:左内胸動脈に施行。PTCA群:全例にaspirin,および大部分の患者にnifedipineを施行前に投与。施行中にheparin 10,000U+nitroglycerin静注。薬物療法群:aspirin,硝酸薬,β遮断薬,Ca拮抗薬を投与。
退院後は全例にaspirin,硝酸薬,β遮断薬,Ca拮抗薬を投与し,3ヵ月ごとに追跡調査。トレッドミル運動負荷試験および冠動脈造影を,ベースライン時と2年後に実施。また,左室造影をベースライン時と追跡時に実施。
追跡完了率 表記なし。
結果

●評価項目
3年後の一次エンドポイント発生は,CABG群で2例(3%)のみであったのに対し,PTCA群では17例(24%),薬物療法群では12例(17%)と,CABG群で有意に減少した(PTCA群 vs CABG群:p=0.0002,CABG群 vs 薬物療法群:p=0.006,PTCA群 vs 薬物療法群:p=0.28)。
死亡(CABG群1例,PTCA群1例,薬物療法群0例)およびMI(各群1例,2例,2例)の発生は3群間に差は認められなかったが,血行再建術施行を要する症例はCABG群ではみられず,他の2群(PTCA群8例,薬物療法群7例)との間に有意差が認められた(p=0.019)。
狭心症症状の消失は,両血行再建術群で薬物療法群に比して顕著に多かった(各群98%,82%,32%,CABG群 vs PTCA群:p<0.01,PTCA群 vs 薬物療法群:p<0.01)。また,2年後にトレッドミル運動負荷試験を実施した165例における虚血の発生は,両血行再建術群で有意に少なかった(虚血非発現症例:各群94%,79%,34%,薬物療法群 vs 両血行再建術群:p<0.01)。
いずれの治療群においても,limiting狭心症(class IIIまたはIV)は最終的に消失し,2年後の冠動脈造影所見ではアテローム性硬化の進展が認められた[新たな狭窄(>50%)の発生例:各群16/54例,19/52例,19/53例]。また,2年後の雇用状況は3群で同等であった(就業している症例:各群80%, 64%,78%)。

●有害事象
表記なし。

文献: Hueb WA, et al. The Medicine, Angioplasty or Surgery Study (MASS): a prospective, randomized trial of medical therapy, balloon angioplasty or bypass surgery for single proximal left anterior descending artery stenoses. J Am Coll Cardiol 1995; 26: 1600-5. pubmed
関連トライアル ACME, CASS 1985, TIMI IIIB 1995, VANQWISH
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