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EPILOG 1998 Evaluation in PTCA to Improve Long-Term Outcome with Abciximab GP IIb/IIIa Blockade
結論 PTCA施行後に予定外の冠動脈ステント植込みを必要とした患者では,病変の形態がより複雑で,合併症の発症率が高いことが示された。また,abciximab投与により,ステント植込み施行率を抑制するとともに,施行患者においても出血性合併症のリスクを増加させることなく,利益が得られることが明らかにされた。

目的 PTCA施行後,予定外の冠動脈ステント植込みを必要とした患者において,臨床所見と血管造影所見,および血小板GP IIb/IIIa受容体拮抗薬abciximabの臨床アウトカムおよび出血性合併症に対する効果を検討。
一次エンドポイント:30日以内の死亡+心筋梗塞(MI)+緊急血行再建術(PTCAまたはCABG)施行の複合。二次エンドポイント:6ヵ月以内の死亡+MI+血行再建術(緊急または待機的)施行の複合。
デザイン ランダム化,プラセボ対照,二重盲検。
セッティング 多施設(2ヵ国,69施設)。アメリカ,カナダ。
期間 追跡期間は6ヵ月。
対象患者 2,792例。年齢>21歳。FDAに承認された手法でのPTCA施行患者。標的病変の狭窄率≧60%。
【除外基準】ECG所見の変化を伴う24時間以内のAMIまたは不安定狭心症,アテレクトミー施行,過去3ヵ月以内の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行,左主幹動脈の再狭窄率>50%,warfarin治療またはベースライン時のプロトロンビン時間>コントロールの1.2倍,過去2年以内の脳血管イベントまたは神経障害の残存,血管炎の既往,出血性素因または活動性のある内出血,高血圧症(SBP>180mmHgまたはDBP>100mmHg),過去6週以内の大手術・消化管および泌尿器出血など。
治療法 以下の3群にランダム化。
1)プラセボ+標準用量を体重補正したheparin[100U/kgボーラス投与,最大1万U,活性化凝固時間(ACT)≧300秒を維持]投与群。2)abciximab+標準用量を体重補正したheparin投与群。3)abciximab+低用量を体重補正したheparin(70U/kgボーラス投与,最大7,000U,ACT≧200秒を維持)投与群。abciximabはPTCA施行10分以上前に0.25mg/kgをボーラス投与後,0.125μg/kg/分(最大10μg/分)を12時間点滴投与。
施行直後,ACTが175秒以下の場合はheparin投与を中止。全例にPTCA施行2時間前にaspirin 325mg投与,その後325mg/日を経口投与。
待機的ステント植込みは実施せず,PTCAの結果が良好でない場合(残存狭窄率≧40%など)または急性閉塞の場合のみ,ステント植込み(予定外)を施行。
追跡完了率 解析可能症例は2,695例(96.5%)。
【脱落理由】解析除外理由:待機的ステント植込みへの割付け(57例),PTCA非実施(39例),その両方(1例)。
結果

●評価項目
予定外のステント植込み施行は326例(12%)。2,695例(96.5%:標準用量heparin群903例,abciximab+標準用量heparin群888例,abciximab+低用量heparin群904例)で解析可能。
ステント植込みはabciximab+低用量heparin群で,標準用量heparin群に比し有意に減少した(9.0% vs 13.7%,p=0.001)。
血管造影所見では,ステント植込み施行例において非施行例に比較して複雑病変(AHA/ACC基準による)が有意に多く(B2またはC病変:81% vs 71%,p=0.003),また,10mmを超える病変(56% vs 46%,p=0.002),偏心性病変(72% vs 66%,p=0.027),輪郭が不規則な病変(59% vs 50%,p=0.001),分岐部を含む病変(11% vs 8%,p=0.019)が有意に多かった。
一次エンドポイント発生率は,ステント植込み施行例14.4%,非施行例6.3%と施行例で有意に高く(p=0.001),これはMI(11.4% vs 4.4%,p=0.001)および緊急血行再建術(特にCABG:2.5% vs 0.8%,p=0.003)の相違によるものであった。一方,施行例ではabciximab投与によって,一次エンドポイントおよび二次エンドポイントがそれぞれ61%(p=0.001),33%(p=0.062)減少し,その減少の程度は非施行例[各55%(p<0.001),15%(p=0.072)]に比して大きかった。

●有害事象
出血性イベントの発生率もステント植込み施行例で有意に高かったが(p=0.001),abciximab投与による出血性イベントの増加は認められなかった(標準用量heparin群16.1%,abciximab+標準用量heparin群12.4%,abciximab+低用量heparin群16.1%)。

文献: [substudy] Kereiakes DJ, et al for the EPILOG Trial Investigators. Abciximab therapy and unplanned coronary stent deployment: favorable effects on stent use, clinical outcomes, and bleeding complications. Circulation 1998; 97: 857-64. pubmed
関連トライアル EPIC 1994, EPIC 1994, EPIC 1996, EPIC 1997, EPILOG 1997, EPISTENT 1998, EPISTENT 1999, EPISTENT 1999, EPISTENT 1999, ERASER, ESPRIT 2000, ISAR-SWEET, Koch KC et al, NICE (NICE 1 and NICE 4), RAPPORT, TARGET
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