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TIMI 10B Thrombolysis in Myocardial Infarction 10B
結論 急性心筋梗塞(AMI)患者において,TNK-tPA 40mgボーラス単回投与とt-PAボーラス+90分持続静注による再灌流(TIMI grade 3)達成効果は同等であった。至適再灌流を得るためには,TNK-tPAの用量体重補正が重要であり,またheparinの減量によって両薬剤の安全性が改善されることが明らかにされた。

目的 急性心筋梗塞(AMI)患者において,3用量のTNK-tPAのボーラス単回投与とt-PA(alteplase)のボーラス+持続静注の再灌流に対する効果および安全性を比較検討。
一次エンドポイント:90分後のTIMI grade 3の再灌流達成。
デザイン ランダム化。
セッティング 多施設(7ヵ国,76病院)。
アメリカ,フランス,ベルギー,カナダ,イギリス,ドイツ,オランダ。
期間 追跡期間は30日。登録期間は1996年3月~1997年3月。
対象患者 886例。AMI発症から12時間以内。虚血性胸痛が30分以上持続,隣接した2誘導以上でのST上昇(≧0.1mV),80歳未満(1996年9月以降)。
【除外基準】脳卒中・一過性脳虚血発作・中枢神経系異常の既往,痴呆または重度の認知障害の既往,血圧値>180/110mmHg,過去6ヵ月以内の重度の出血障害,心原性ショック,過去4日以内のAMIへの血栓溶解療法施行,過去3ヵ月以内の大手術・生検・外傷,過去2週間以内の長時間(>2分)の心肺蘇生,最近の圧迫不可能な血管穿刺,CABG施行歴,心臓カテーテル法施行不可能,経口抗凝固薬投与歴など。
治療法 TNK-tPA 30mg投与群,TNK-tPA 40mg投与群,TNK-tPA 50mg投与群,t-PA投与群にランダム化(当初は,TNK-tPA 30mg群,TNK-tPA 50mg群,t-PA群に1:1:1の割合でランダム化したが,50mg群での頭蓋内出血の発生率が増加したため,早期に中止:1996年8月。以後,TNK-tPA 40mg群,TNK-tPA 30mg群,t-PA群に4:1:1の割合でランダム化)。
TNK-tPA群:単回ボーラス投与(5~10秒)。t-PA群:15mgボーラス投与後,0.75mg/kg(最大50mg)を30分で静注,その後0.50mg/kg(最大35mg)を60分で静注。
血栓溶解薬投与前または投与後,できるだけ早期にheparin 5,000U(体重≦67kgの場合は4,000U)ボーラス静注後,1,000U/時(>67kg)または800U時(≦67kg)で48~72時間持続静注(活性化部分トロンボプラスチン時間が55~80秒となるよう用量調整)。
また,後に以下の変更を追加:すでにheparinを静注している患者にはカテーテル法実施の際にheparin追加静注は実施しない。緊急血管形成術を施行した患者では,目標活性化凝固時間を300秒とし,ボーラス静注用量を2,500U以下まで増量可。
全例にaspirin 150~325mg/日投与(経口または静注)。β遮断薬投与を推奨。60および75分後(可能な場合のみ),90分後に冠動脈造影を実施。
追跡完了率 解析除外例は30例(3.4%)。
【脱落理由】試験薬以外の血栓溶解薬の服用(11例),インフォームド・コンセント不受理(6例)など。
結果

●評価項目
有効性に関する解析は837例(TNK-tPA 30mg群302例,40mg群148例,50mg群76例,t-PA群311例)で実施。90分後におけるTIMI grade 3症例の割合は,TNK-tPA 30mg群54.3%,40mg群62.8%,50mg群65.8%,t-PA群62.7%で,TNK-tPA群において用量の増加に伴う上昇が認められた:40mg群ではt-PA群とほぼ同等であったが(p=NS),30mg群ではt-PA群に比して有意に低く(p=0.035),50mg群ではt-PA群に比して高かったが有意差はみられなかった(p=0.62)。同様の用量依存性の上昇傾向が,TIMI grade 2または3の症例についても認められた(各76.8%,79.1%,88.2%,81.7%)。60分後におけるTIMI grade 3,TIMI grade 2または3症例の割合は,4群間に有意差は認められなかった。
TNK-tPAの用量体重補正での検討では,1kgあたりのTNK-tPA用量がより低値の患者群(n=166)におけるTIMI frame count(中央値)は31,中等値の患者群(n=173)では35,高値の患者群(n=170)では38と,TNK-tPAの用量増加に伴う上昇が認められた(高値群 vs 低値群:p=0.001,中等値群 vs 低値群:p=0.05)。
30日後の死亡(TNK-tPA 30mg群3.6%,40mg群6.5%,50mg群3.8%,t-PA群5.7%)および再梗塞(各5.2%,6.5%,2.6%,5.7%)では,TNK-tPA群とtPA群間に有意差は認められなかった。

●有害事象
安全性に関する評価は856例(TNK-tPA 30mg群308例,40mg群154例,50mg群78例,t-PA群316例)で実施。
30日後の頭蓋内出血(TNK-tPA 30mg群1.0%,40mg群1.9%,50mg群3.8%,t-PA群1.9%)および重篤な出血(各1.9%,5.2%,11.5%,8.5%)の発生率は,TNK-tPA群で用量依存性の傾向が認められた。一方,heparinの減量および6時間後の用量補正前後での比較では,いずれも実施後に低下した(頭蓋内出血:TNK-tPA 30mg群2.2%→0%;p=0.047,t-PA群2.8%→1.2%;p=0.29,重篤な出血:TNK-tPA 30mg群3.0%→0%;p=0.02,t-PA群8.4%→2.3%;p=0.01)。

文献: [main] Cannon CP, et al for the Thrombolysis in Myocardial Infarction (TIMI) 10B Investigators. TNK-tissue plasminogen activator compared with front-loaded alteplase in acute myocardial infarction: results of the TIMI 10B trial. Circulation 1998; 98: 2805-14. pubmed
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