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FRIC Fragmin in Unstable Coronary Artery Disease Study
結論 不安定狭心症または非Q波心筋梗塞(MI)患者の急性期治療において,低分子量heparin(LMWH)の1日2回(240IU/kg/日)皮下投与は未分画heparin投与の代用となる可能性が示唆された。一方,本試験よりも低用量のLMWHはaspirin単独投与(75mg~165mg/日)より有効であることは示されなかった。

目的 不安定狭心症,非Q波心筋梗塞(MI)患者における抗凝固薬低分子量heparin(dalteparin :LMWH)の有効性と安全性を検討。
一次アウトカム:治療相における死亡,MI,狭心症の再発。二次アウトカム:急性相における死亡,MI,狭心症の再発,試験期間におけるPTCAまたはCABGによる再血行再建術施行,運動負荷試験時の虚血症状。
デザイン ランダム化,オープン(急性相),二重盲検(治療相),intention-to-treat解析。
セッティング 多施設(9ヵ国,81施設)。
オーストリア,カナダ,ドイツ,イタリア,オランダ,ノルウェー,スペイン,イギリス,アメリカ。
期間 追跡期間は45日。登録期間は1993年3月~1995年4月。
対象患者 1,482例。25~92歳(中央値65歳)。男性64%。最後の胸痛発現から72時間以内で,ECG所見で異常が認められる症例。
【除外基準】新規の進行性Q波,ECG所見における左脚ブロック,血栓溶解療法への適応,ペースメーカー植込み例,心筋虚血の既往,感染性心内膜炎,心膜炎,経口抗凝固薬またはheparin投与中,DBP>120mmHgまたはSBP<90mmHg,脳血管イベントの既往,消化性潰瘍または過去3ヵ月以内の消化管出血,1週間以内の外科的手術施行歴,3週間以内のPTCAまたはCABG施行予定例など。
治療法 急性相:試験開始日から6日目まで。LMWH投与群(751例)と未分画heparin投与群(731例)にランダム化。LMWH群:dalteparin 240IU/kg/日(分2)皮下注,未分画heparin群:heparin 5,000IUボーラス静注(2時間)後,1,000IU/時継続静注(活性化部分トロンボプラスチン時間をコントロールの1.5倍に用量補正)。
治療相:6日目~45日目まで。LMWH投与群(562例)とプラセボ群(561例)にランダム化。LMWH群:dalteparin 7,500IU/日皮下注。
入院後早期より,試験期間中にaspirin 75~165mg/日投与。狭心症治療薬の投与は許可。
追跡完了率 急性相における脱落率は23.6%(350例),治療相では6.9%(77例)。
【脱落理由】冠動脈血行再建術施行,heparin静注の必要性,MI発症,MIによる血栓溶解療法の必要性など。
結果

●評価項目
急性相における死亡,MI,狭心症の再発率は,LMWH群9.3%,未分画heparin群7.6%(相対リスク1.18,95%CI 0.84-1.66),死亡およびMI発症は各3.9%,3.6%(1.07,0.63-1.80),血行再建術施行は各4.8%,5.3%であった(0.88,0.57-1.35)。治療相における一次アウトカム(死亡,MI,狭心症の再発)発生率は両群ともに12.3%であった(相対リスク1.01,95%CI 0.74-1.38)。死亡およびMI発症はLMWH群4.3%,プラセボ群4.7%(0.92,0.54-1.57),血行再建術施行率は各14.3%,14.2%であった。

●有害事象
急性相における有害事象の発生率は,大出血:LMWH群1.1%,未分画heparin群1.0%,軽度の出血:各3.1%,3.3%,血小板減少症:各0.3%,0.7%,アレルギー反応:各0.4%,0.8%であった。また,治療相における有害事象の発生率も同様に低率であった(大出血:LMWH群0.5%,プラセボ群0.4%,軽度の出血:各5.1%,2.8%,血小板減少症:各群ともに0%,アレルギー反応:各0.7%,1.2%)。

文献: [main] Klein W, et al for the FRIC Investigators. Comparison of low-molecular-weight heparin with unfractionated heparin acutely and with placebo for 6 weeks in the management of unstable coronary artery disease: Fragmin in unstable coronary artery disease study (FRIC). Circulation 1997; 96: 61-8. pubmed
関連トライアル AFTER, ATACS, ATACS-pilot, Canadian Multicenter Trial, Cohen M et al, ESSENCE 1997, ESSENCE 1998, ESSENCE 2000, FRAMI, FRAX.I.S, FRISC, FRISC II 1999, FRISC II 2000, Gurfinkel EP et al, GUSTO IIb 1996, HELVETICA, Holdright D et al, OASIS Pilot Study 1998, PARAGON-A, PARIS-II, Physicians' Health Study 1991, PRISM-PLUS 1999, PROTECT, RISC 1990, RISC 1991, Spanish Multicenter Trial, Théroux P et al 1988, Théroux P et al 1992, TIMI 11A, TIMI 11B, TRIC, TRIM, VA-pilot
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