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OASIS Pilot Study 1997 Organization to Assess Strategies for Ischemic Syndromes Pilot Study
結論 不安定狭心症または非ST上昇の急性心筋梗塞(AMI)患者において,hirudin(特に中等量)はheparinに比較して,より優れた虚血性イベント抑制効果を有することが示された。

目的 急性虚血性症候群[心筋梗塞(MI)または難治性虚血のリスクが高い患者]において,2用量の抗トロンビン薬hirudinと抗凝固薬heparinの虚血性イベント抑制効果および安全性を比較検討。
一次アウトカム:心血管死+新規のMI+治療抵抗性狭心症の複合。二次アウトカム:7日後の心血管死+新規のMI+治療抵抗性または重度の狭心症の複合。安全性に関する重度のアウトカム:脳卒中および大出血。
デザイン ランダム化,オープン(hirudinまたはheparin),単盲検(hirudin 2用量),パイロット試験。
セッティング 多施設(31施設)。カナダ。
期間 追跡期間は180日(平均161日:2~247日)。
登録期間は1994年7月~1996年4月。
対象患者 909例。不安定狭心症(狭心症症状の新たな発症および悪化,あるいは最小限の労作による発現,かつECG所見における虚血または冠動脈疾患の既往を有する)または非ST上昇のAMI(典型的な胸痛が20分を超えて持続し,ECG所見でST上昇が認められない)によると推測される胸痛の発現から12時間以内の入院患者。
【除外基準】heparinまたはhirudinに禁忌,過去1年以内の脳卒中の既往,腎障害(クレアチニン値>2.0mg/dL),経口抗凝固薬の長期投与の必要性,過去6ヵ月以内のPTCA施行歴,血栓溶解療法の施行予定,妊娠,21歳未満または85歳超,推定体重>110kg,心原性ショック,冠動脈疾患に起因しない狭心症など。
治療法 heparin投与群(371例)と低用量hirudin投与群(271例),中等量hirudin投与群(267例)に4:3:3の割合でランダム化。
heparin群:5,000IUボーラス静注後,1,200U/時(推定体重60kg未満の場合は1,000U)を静注。低用量hirudin群:0.2mg/kgボーラス静注後,0.10mg/kg/時を静注。中等量hirudin群:0.4mg/kgボーラス静注後,0.15mg/kg/時を静注。全群ともに静注時間は72時間。活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)を6~8時間ごとに測定し,60~100秒になるように用量調整。
投与開始前にheparin静注を受けていた患者のうち,aPTT>60秒または2時間以内にheparinボーラス静注を受けた患者に対しては,heparinまたはhirudinボーラス静注は実施せず(heparin群21.6%,低用量hirudin群26.6%,中等量hirudin群27%)。
追跡完了率 プロトコール逸脱率は0.7%(6例)。
【脱落理由】静注非投与,心原性ショック。
結果

●評価項目
7日後の一次アウトカム発生率は,heparin群6.5%(24例),低用量hirudin群4.4%(12例),中等量hirudin群3.0%(8例)とhirudin群で減少(heparin群 vs 低用量hirudin群:p=0.267,heparin群 vs 中等量hirudin群:p=0.047)。二次アウトカムの発生率は,各15.6%(58例),12.5%(34例),9.4%(25例)であり,hirudin群で減少した(heparin群 vs 低用量hirudin群:p=0.27,heparin群 vs 中等量hirudin群:p=0.02)。
新規のMI発生率は各4.9%(18例),2.6%(7例),1.9%(5例)とhirudin群で減少したが(各p=0.14,p=0.046),これは主としてランダム化後24時間以内の発生抑制によるものであった。心血管死は3群ともほぼ同等[各0.8%(3例),0.7%(2例),1.5%(4例):p=0.92,p=0.41]。また,7日後のCABG施行率も各4.0%(15例),3.7%(10例),1.1%(3例)とhirudin群で減少した(p=0.819,p=0.028)。
低用量hirudin群では,投与終了から24時間後の虚血性イベント発生率が顕著に増加した。中等量hirudin群では,8日後(投与終了から5日後)までの虚血性イベント発生率はheparin群(p=0.073)および低用量hirudin群(p=0.076)に比し低率であったが,8日後に急激な増加が認められた。一方,両hirudin群とheparin群における虚血性イベント発生率の差は35日後および180日後でも維持され,特に中等量hirudin群で抑制効果が最も高かった。

●有害事象
7日後における大出血の発生率は3群とも同様に低く(各1.1%,0.7%,1.1%:p=0.658,p=0.957),出血性脳卒中は認められなかった。

文献: [main, pilot] Organization to Assess Strategies for Ischemic Syndromes (OASIS) Investigators. Comparison of the effects of two doses of recombinant hirudin compared with heparin in patients with acute myocardial ischemia without ST elevation: a pilot study. Circulation 1997; 96: 769-77. pubmed
関連トライアル ATACS, ESSENCE 2000, Gurfinkel EP et al, GUSTO IIa, GUSTO IIb 1996, HELVETICA, HIT-III, Holdright D et al, OASIS Pilot Study 1998, OASIS-2, OASIS-5 and 6, PARAGON-A, RESTORE, TIMI 11B, TIMI 5, TIMI 6, TIMI 7, TIMI 9A, TIMI 9B, TRIM, van den Bos AA et al
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