抗血栓トライアルデータベース
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NHFACT National Heart Foundation of Australia Coronary Thrombolysis
結論 急性心筋梗塞(AMI)患者において,血栓溶解療法終了24時間後にheparin投与を中止し,経口抗血小板療法への変更は,胸痛や再梗塞の発症,梗塞関連動脈の開存性,左室駆出率に悪影響を与えることなく実施可能であることが示された。

目的 急性心筋梗塞(AMI)患者において,血栓溶解療法(rt-PA)後24時間以降もheparin静注を継続した場合と,heparin静注を中止し経口抗血小板療法(aspirin+dipyridamole)に変更した場合を比較し,heparin静注継続の必要性を検討。
デザイン ランダム化,intention-to-treat解析。
セッティング 多施設。オーストラリア。
期間 追跡期間は28日。登録期間は1988年2月~12月。
対象患者 202例。75歳以下のAMI発症が疑われる症例。心筋梗塞(MI)の既往がなく,発症から4時間以内の入院患者,典型的な胸痛,心電図所見で2誘導以上のST上昇(>2mm:前壁梗塞,>1mm:下壁梗塞)が認められる症例。
【除外基準】1つ以上の血栓溶解療法に対する禁忌(脳血管疾患の既往,活動性の消化性潰瘍または消化管出血の既往,最近の外傷および手術,高血圧症)。
治療法 rt-PA 100mg静注(10mgボーラス静注後,50mgを1時間で静注し,その後20mg/時で2時間静注)。rt-PA静注開始と同時にheparin 5,000Uボーラス静注,rt-PA静注終了時から1,000U/時で24時間静注。以上の投与終了から24時間後に,heparin静注継続群(99例)とaspirin 300mg/日+dipyridamole 300mg/日(分3)投与群(103例)にランダム化。
heparin静注群は7~10日間投与(活性化部分トロンボプラスチン時間を正常の2~2.5倍に維持,6時間後から,以降1日に2回以上評価)。
7~10日後に心カテーテル法による冠動脈造影および左室造影を実施し,梗塞関連動脈の開存性および左室駆出率(LVEF)を評価。2日後および28日後に放射性心室造影を実施し,心室機能(EF)を評価。
追跡完了率 投与中止例は10例(5.0%:aspirin+dipyridamole群7例,heparin群3例)。
【脱落理由】左室血栓形成,dipyridamole投与による頭痛,胸痛再発,抗凝固療法による合併症など。
結果

●評価項目
入院期間中の脳卒中はheparin群0例,aspirin+dipyridamole群1例(1.0%),再梗塞は各5例(5.1%),2例(1.9%),死亡は5例(5.1%),2例(1.9%)であり,主要イベントはheparin群で多かったが,有意差はなかった(p=0.09)。出血性合併症,虚血性胸痛およびその発症時期においても,両群間に差はみられなかった。
7~10日後に冠動脈造影を実施した196例(97.0%:heparin群95例,aspirin+dipyridamole群101例)のうち,梗塞関連動脈の完全閉塞例(TIMI grade 0~1)はheparin群19例(20.0%),aspirin+dipyridamole群20例(19.8%)と両群で同等であった。部分閉塞例における閉塞率も各69%(n=76),67%(n=81)とほぼ同等であった。
7~10日後のカテーテル法によるLVEFはheparin群56.9%(n=69),aspirin+dipyridamole群58.4%(n=79)と両群間に差はなかった。放射性心室造影によるLVEFは,2日後で各50.0%(n=94),50.1%(n=99),28日後で52.4%(n=88),51.9%(n=93)と,両群とも28日後にやや改善がみられたが,両群間に差は認められなかった。

●有害事象
表記なし。

文献: Thompson PL, et al for the National Heart Foundation of Australia Coronary Thrombolysis Group. A randomized comparison of intravenous heparin with oral aspirin and dipyridamole 24 hours after recombinant tissue-type plasminogen activator for acute myocardial infarction. Circulation 1991; 83: 1534-42. pubmed
関連トライアル APRICOT, Bleich SD et al, CABADAS, Chesebro JH et al 1984, DUCCS 1, ECSG 1992, Gent AE et al 1968, GISSI-2 Connected Study, GUSTO-I 1993, GUSTO-I 1995, HART 1990, HART 1992, LATE 1995, Neri Serneri GG et al, PACT, RAPID II, RISC 1990, Schwartz L et al, TAMI 6, TIMI 4, TIMI 5, TIMI II 1989, White HD et al
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