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TAMI 1 1988 Thrombolysis and Angioplasty in Myocardial Infarction 1
結論 t-PAによる血栓溶解療法が成功しなかった患者の大部分でPTCA施行により再灌流が得られたが,再閉塞率が高く,左室機能の回復もわずかであった。こうした高リスク患者では,梗塞関連動脈の再灌流および開存の維持には新たな手法を検討すべきである。

目的 t-PAによる血栓溶解療法後も冠動脈閉塞が持続する急性心筋梗塞(AMI)患者において,t-PA静注による開存の不成功に相関する臨床因子,および緊急PTCAを施行した場合の臨床転帰を検討。
デザイン ランダム化(血栓溶解療法後の開存例のうちPTCA施行に適合する症例),非ランダム化(その他の症例)。
セッティング 多施設(7病院)。アメリカ。
期間 追跡期間は6ヵ月以上(平均8ヵ月)。
対象患者 384例。AMI発症後4時間以内,または発症後4~6時間における重度症状の持続,心電図所見で隣接した2誘導以上でのST上昇(≧1mm)かつ同じ梗塞関連動脈領域におけるQ波MIの既往がない症例。
【除外基準】症状の持続時間が20分未満,nitroglycerin舌下錠によるの症状軽減,年齢>75歳,最近の脳血管疾患・手術・外傷・出血,CABG施行歴,心原性ショック。
治療法 最初の176例:rt-PA 60mgを1時間で静注(10%はボーラス静注)後,20mg/時で2時間静注。90分後の血管造影所見で再灌流が認められた患者(t-PA成功例)にはさらに10~20mg/時で5時間静注。t-PA不成功例では3時間以降のt-PA静注を中止(最初の49例),またはさらに10~20mg/時で5時間静注(50例以降)。その後の210例:1.0mg/kg(最大90mg)を1時間で静注(10%はボーラス静注)後,総投与量150mgとなるように5時間で静注。
90分後に心カテーテル法による血管造影を実施し,非開存(TIMI grade 0または1)あるいは開存(TIMI grade 2または3)を評価。
t-PA成功例:PTCA施行に適合する患者を,緊急PTCA群と待機的PTCA群(従来治療を1週間実施)にランダム化。t-PA不成功例:緊急PTCAを施行(梗塞サイズが小さい場合,またはPTCA施行が不適切と判断された場合を除く)。退院前(1週間後)に血管造影を再実施。
心カテーテル法で血管アクセスが得られた後,heparin 5,000U投与。PTCA施行開始直後に5,000U投与,施行中に1,000~2,000U/時を注入。PTCA成功が得られた後,活性化部分トロンボプラスチン時間がベースライン時の1.5~2.5倍を維持するよう24時間以上持続注入。
併用薬として,t-PA静注と同時にlidocaine(88%),nitroglycerin(65%)投与。aspirin 325mg/日をカテーテル法実施時またはCCU入室後から投与開始,dipyridamole 225mg/日(分3)をCCU入室後から投与開始,diltiazem 120~240mg/日(分4)投与。β遮断薬は退院時まで投与中止(不整脈,高血圧症,狭心症が発症した場合を除く)。
ベースライン時および退院前の左室造影実施により左室機能(駆出率:EF)を評価。
追跡完了率 表記なし。
結果

●評価項目
心カテーテル法施行前の合併症発症は,t-PA成功例(288例)および不成功例(96例)で同等であったが,施行中における重度の合併症は不成功例で多かった(心室細動9% vs 4%,重度の洞性徐脈19% vs 6%,持続性低血圧症14% vs 6%)。
緊急PTCAを施行したt-PA不成功例(86例)のうち,PTCAの完全成功が得られた症例(再灌流が認められ,残存狭窄率<50%)は73%(63例),部分成功例(再灌流が認められ,残存狭窄率>50%)は16%(14例),PTCA不成功例は11%(9例:CABG施行4%+非施行7%)であった。一方,t-PA不成功例のうち,10例(梗塞サイズの小さい6例+動脈瘤拡張のためPTCA施行が不適合2例+PTCA施行前に突発性の薬剤誘発性開存が得られた2例)では緊急PTCAは施行されなかった。
t-PA不成功例における院内死亡率は,PTCA完全成功例6%(4例),部分成功例14%(2例),不成功例44%(4例)と,PTCA不成功例で最も高かった。PTCA非施行の10例では死亡は認められなかった。また,PTCA施行例の29%で,heparinおよび抗血小板薬投与にもかかわらず,入院中(1週間後)に再閉塞が認められた。
t-PA不成功例のうち,左室造影で適切なデータが得られた68例での検討では,いずれの症例においてもEF改善は認められなかった。局所機能(梗塞領域の局所壁運動)は,PTCAで完全成功が得られ入院中に再閉塞がなかった症例(30例)でわずかな改善がみられたものの有意ではなかった。
退院時に生存していたt-PA不成功例86例のうち,退院後に死亡したのは1例のみで,66例(76%)では再入院,死亡,再梗塞のいずれも認められなかった。

●有害事象
表記なし。

文献: [substudy] Califf RM, et al and the TAMI Study Group. Characteristics and outcome of patients in whom reperfusion with intravenous tissue-type plasminogen activator fails: results of the Thrombolysis and Angioplasty in Myocardial Infarction (TAMI) I trial. Circulation 1988; 77: 1090-9. pubmed
関連トライアル ECSG-RTPA, García E et al, GUSTO-I 1995, NRMI-2, PACT, TAMI 1 1987, TAMI 5 1991, TIMI II 1989, TIMI IIA 1988
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