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Anderson JL et al 1984 A randomized trial of intravenous and intracoronary streptokinase in patients with acute myocardial infarction
結論 急性心筋梗塞(AMI)患者への早期のstreptokinase(SK)静注により,心機能・臨床評価・院内イベント発生率に関して動脈内投与よりも良好な効果が得られ,より早期に簡便な投与が可能であることが示された。一方,死亡率に対する有効性についてはさらなる検討が必要とされる。

目的 急性心筋梗塞(AMI)患者において,血栓溶解薬streptokinase(SK)の静注と動脈内注入,およびSKの静注と標準的なCCU治療(血栓溶解療法非実施)を比較検討。
一次アウトカム:1日後から10日後までの左室駆出率(LVEF)の変化。
デザイン ランダム化,intention-to-treat解析。
セッティング 単施設。アメリカ。
期間 追跡期間は10日。
対象患者 50例。虚血性胸痛の発現後4時間未満(平均2.4時間),かつECG所見でST上昇(≧0.2mV)が認められ,nitroglycerinが奏効しない患者。
【除外基準】緊急カテーテル法施行が不可能な血行動態(ショック)または調律の不安定性,血栓溶解療法に禁忌。
治療法 SK静注投与群(27例:平均総投与量84万5千U)とSK動脈内注入群(23例:平均総投与量21万2千U)にランダム化。
SK静注群:負荷用量として25万Uを10~15分で静注後,10万U/時を5時間静注(75万Uを5時間で静注:14例)または負荷用量として50万Uを10~15分で静注後,1万U/分で50分静注(100万Uを1時間で静注:13例)。
SK動注群:arterial entry後,heparin 5,000U投与。梗塞関連動脈の閉塞状態を確認後,SK 1~2万Uボーラス動注後,5,000U/分(3,000~6,000U/分)で動注。再灌流が得られた後,3,500U/分(2,000~5,000U/分)で30~45分動注。部分閉塞の場合は総投与量10万U。
SK投与終了時,部分トロンボプラスチン時間が80~100秒に低下した後,heparin 800~1,000U/時投与開始。3日後までこの範囲内を維持するよう用量調整。入院時から24時間後までlidocaineを予防的に投与。必要に応じてmorphine,nitroglycerin投与。抗血小板薬[aspirin 600mg+dipyridamole 150mg/日(分2)]またはwarfarinを4日後から退院後3ヵ月間投与。
心筋酵素の血清濃度を入院時から4日後または7日後まで測定し,酵素動態を評価。12誘導心電図検査を入院時から10日後または退院時(平均8.9日後)まで実施。断層心エコー法を入院時,1日後,10日後または退院時(平均9.5日後)に実施し,半定量的局所壁運動指数を評価。放射性心室造影を1日後,10日後または退院時(平均9.5日後)に実施し,EFを評価。冠動脈造影を退院時(平均11.0日後)に実施。以前に実施された無作為試験の登録患者のうち,標準的なCCU治療のみを施行され,かつ登録時における背景が類似した患者をコントロール群とした。
追跡完了率 表記なし。
結果

●評価項目
胸痛発現からSK投与開始までの時間は,静注群2.8時間,動注群4.3時間と静注群で有意に短縮された(p<0.001)。
10日後のLVEFは静注群(n=22)54%,動注群(n=20)50%と両群間に有意差なし。静注群(n=21)では,10日後にLVEFが5.1%上昇し,1日後に比して有意に改善されたが(p<0.08),動注群での上昇は1.2%と有意な変化は認められなかった。一方,コントロール群(n=22)では3.0%低下し,静注群との間に有意差がみられた(絶対差8.1%,p<0.02)。梗塞域の局所壁運動指数は,10日後に両SK群ともに0.3上昇し,入院時に比し有意に改善した(p<0.02)。
心筋の酵素動態については,両SK群でコントロール群に比しより急速な放出が認められた。各酵素のピーク値までの時間は,CK-MBは静注群12.5時間,動注群11.5時間,LDHは各31.7時間,28.1時間で,両群間に差はみられなかったが,いずれもコントロール群に比して有意に短縮された(各p<0.001,p<0.05)。LDHおよびLDH-1のピーク値は,コントロール群に比し静注群で有意に低かった(846 vs 626U/L,405 vs 259U/L,各p<0.05)。
ECG所見におけるST上昇の合計は,両SK群とも急速に減少し,10日後には静注群とコントロール群で有意差が認められた(p<0.02)。R波の振幅の減少は両SK群で同等であり,退院時の減少率はコントロール群で有意に大きかった(p<0.002)。Q波の出現数は両SK群とも同等で,コントロール群に比してやや少なかった。
梗塞部位の疼痛に対するmorphine投与量(中央値)は,両SK群で治療前(~3時間後)から治療後(3時間後~3日後)の低下が同程度であり(静注群5.1→3.0mg,動注群5.2→1.4mg),治療後には静注群とコントロール群間に有意差が認められた(p<0.01)。CCU入室中のKillip心不全分類は両SK群とも1.8と同等で,また早期不整脈発症もほぼ同等であった。1つ以上の虚血性イベント(梗塞部位の拡大,再閉塞,狭心症)発生例は静注群3例,動注群8例,冠動脈バイパス術またはバルーン血管形成術施行例は各4例,10例と,動注群で増加傾向が認められた。院内死亡は静注群5例,コントロール4例,動注群1例と3群間に有意差はみられなかった。
退院時(遠隔期)において灌流が認められたのは,静注群73%(16/22例),動注群76%(16/21例)と同等であった。

●有害事象
上部消化管出血は各4例,1例と静注群で多かった。

文献: Anderson JL, et al. A randomized trial of intravenous and intracoronary streptokinase in patients with acute myocardial infarction. Circulation 1984; 70: 606-18. pubmed
関連トライアル Anderson JL et al 1983, GUSTO-I 1995, I.S.A.M. Study, ISIS-pilot, Khaja F et al, Rogers WJ et al, WWICT
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