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Rogers WJ et al Prospective randomized trial of intravenous and intracoronary streptokinase in acute myocardial infarction
結論 急性心筋梗塞(AMI)患者において,血栓溶解療法の冠動脈内注入と高用量・急速静注はいずれも全身性溶解をもたらし,かつ合併症はほとんど認められなかった。冠動脈内注入のほうがより有効性に優っていたが,より高用量の静注投与(100万IUを45分で注入)はある割合の患者(44%)で効果が認められたことから,緊急心カテーテル法が未施行な患者に有用であると推測された。

目的 急性心筋梗塞(AMI)患者において,streptokinase(SK)の冠動脈注入法と高用量・急速静注による血栓溶解効果と合併症の可能性を比較検討。
デザイン ランダム化。
セッティング 単施設。アメリカ。
期間 -
対象患者 51例。年齢≦70歳(平均年齢53歳)。AMIを示唆する臨床症状が認められる,心電図所見にて2誘導以上でのST上昇(≧1.5mm)または著明なT波変化,血栓溶解療法または抗凝固療法に禁忌でない,胸痛発症後12時間以内の緊急カテーテル法および血栓溶解療法の施行が可能(発症後12~24時間に重度の胸痛が再発したAMI患者は例外的に対象とした),緊急冠動脈・左室造影および再灌流療法施行への同意。
治療法 緊急左室造影および冠動脈造影実施後,梗塞関連動脈の完全閉塞または重度の狭窄が認められた患者を,冠動脈内注入群(25例)と静注群(26例)にランダム化。
冠動脈内注入群:nitroglycerin 200μgを梗塞関連動脈内注入後,SK 24万IUを1時間(4,000IU/分)で冠動脈内注入(phase IおよびII),60分後まで15分ごとに血管造影を実施。
静注群:nitroglycerin舌下錠 400μg投与後,SK 50万IUを15分で静注(phase I:10例)または100万IUを45分で静脈内注入(phase II:16例),45分後まで15分ごとに血管造影を実施。45分後に血栓溶解が認められない患者には,二次介入としてSK 12万IUを30分で冠動脈内注入(15例)または30分間観察を継続(2例)し,75分後まで15分ごとに血管造影を実施。
全例にaspirin 325mg/日およびdipyridamole 150mg(分3,8時間ごと)を入院期間中および退院後6ヵ月まで継続投与。血漿フィブリノゲン値を48時間後まで6時間ごとに測定。
追跡完了率 表記なし。
結果

●評価項目
血栓溶解療法成功例は,phase Iで冠動脈内注入群64%(9/14例),静注群10%(1/10例),phase IIでは各91%(10/11),44%(7/16),phase I+IIでは各76%(19/25),31%(8/26)と,冠動脈内注入群で有意に多かった(phase I:p<0.05,phase II:p<0.05,phase I+II:p<0.005)。
45分後に血栓溶解が得られず,血栓溶解療法およびガイドワイヤー挿入を行った静注群15例中,再開通が得られたのは7%(1/15例)のみであり,一次介入として施行された症例(76%:19/25例)に比し,成功率が有意に低かった(p<0.0005)。
血栓溶解療法成功例での注入開始から血栓溶解までの平均経過時間は,冠動脈内注入群31±18分,静注群38±20分と両群間に有意差は認められなかったものの,静注群(n=8)で30分後までに成功した症例はまれであったのに対し,冠動脈内注入群(n=19)では15分後までに多くの症例で血栓溶解が認められた。
フィブリノゲン値の検討から両群で全身性溶解が認められたが,6時間後の値は冠動脈内注入群88mg/dL,静注群39mg/dLと,静注群で有意に低かった(p<0.05)。しかし,24時間後にはほぼ同等となり,48時間後には両群とも正常域までに上昇した。

●有害事象
輸血を要する出血は各群1例であった(冠動脈内注入群4%,静注群:phase I 10%)。

文献: Rogers WJ, et al. Prospective randomized trial of intravenous and intracoronary streptokinase in acute myocardial infarction. Circulation 1983; 68: 1051-61. pubmed
関連トライアル Anderson JL et al 1983, Anderson JL et al 1984, E6010 Study, I.S.A.M. Study, ISIS-pilot, Khaja F et al, TIMI 6, TIMI I 1988, WWICT
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