抗血栓トライアルデータベース
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ECSG 1992 European Cooperative Study Group
結論 急性心筋梗塞(AMI)患者へのrt-PA+heparin併用投与は,冠動脈の開存性を改善することが示された。臨床転帰の改善に関しては,大規模臨床試験での検討を要する。

目的 急性心筋梗塞(AMI)患者において,血栓溶解療法rt-PA(alteplase)+aspirinとheparin静注併用の有効性を検討。
主要なエンドポイント:48~120時間後の梗塞関連冠動脈の開存性。
デザイン ランダム化,二重盲検。
セッティング 多施設(欧州6ヵ国,19施設)。
オランダ,スイス,スペイン,ベルギー,イギリス,ポルトガル。
期間 -(退院時まで)
対象患者 652例。21~70歳。臨床上および心電図所見にてAMIが確認され,発症から6時間以内にrt-PAを静注した症例。MIによる典型的な胸痛が30分以上持続。心原性ショックは除外せず。
【除外基準】過去13日以内の壁内MIまたは同じ梗塞部位での再発,出血性合併症のリスク増加が認められた例。
治療法 aspirin 250mgをボーラス静注(イギリスの施設では300mgを経口投与)し,75~125mgを隔日で経口投与。rt-PA 100mg(10mgをボーラス静注後50mgを1時間以上,続いて40mgを2時間以上で静注:体重補正は実施せず)。
heparin投与群[328例:rt-PA静注開始直前に,heparin 5,000Uをボーラス静注,その後1,000U/時を冠動脈造影実施時(血栓溶解療法開始より48~120時間後)まで継続静注]とプラセボ投与群(324例)にランダム化。必要に応じ鎮痛薬を処方。
追跡完了率 試験薬投与完了後,冠動脈造影実施例は602例(92.3%)。
【脱落理由】出血,胸痛再発またはその他の合併症による投与中止など。
結果

●評価項目
各群4例を解析対象より除外(heparin群324例,プラセボ群320例で解析)。
冠動脈の開存(TIMI grade 2または3)はheparin群83.4%(TIMI 2:7.9%,TIMI 3:75.5%),プラセボ群74.7%(各8.3%,66.4%)とheparin群で改善がみられた。閉塞血管(TIMI grade 0または1)は,heparin群16.6%,プラセボ群25.3%とheparin群で抑制された(相対リスク0.66,95%CI 0.47-0.93)。
胸痛の再発,再梗塞,死亡といったイベントの発生率に両群間で差はみられなかったものの,臨床上の虚血イベントはheparin群で有意ではないが抑制傾向が認められた。梗塞サイズはheparin群で約4%減少したが,出血性合併症は同群で増加の傾向にあった(いずれも有意差なし)。左室血栓形成は,heparin群で3.7%(10例),プラセボ群では6.8%(18例)に認められ,heparin群で抑制された(相対リスク0.55,95%CI 0.26-1.16)。

●有害事象
ランダム化から冠動脈造影時まで,および冠動脈造影時から退院時までの出血性合併症の発生率はheparin群で高い傾向が認められたが,有意ではなかった。

文献: de Bono DP, et al for the European Cooperative Study Group. Effect of early intravenous heparin on coronary patency, infarct size, and bleeding complications after alteplase thrombolysis: results of a randomised double blind European Cooperative Study Group trial. Br Heart J 1992; 67: 122-8. pubmed
関連トライアル ASSET, Bleich SD et al, CLARITY-TIMI 28, DUCCS 1, ESSENCE 1997, GISSI-2 1990, GISSI-2 and the International Study, GUSTO-I 1993, GUSTO-I 1993, GUSTO-I 1995, HART 1990, HIT-III, IMPACT-AMI, LATE 1993, Neri Serneri GG et al, NHFACT, PACT, RAPID II, SWIFT, TAMI 6, Telford AM et al, TIMI 14, TIMI 4, TIMI 5, TIMI 9A
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