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Kaegi A et al Arteriovenous-shunt thrombosis. Prevention by sulfinpyrazone
結論 慢性血液透析患者に造設したシャントにおけるsulfinpyrazone投与は血栓形成のリスクを低減させ,基礎でのエビデンスを臨床上で裏づける結果を示した。

目的 慢性血液透析を受けている患者において,動静脈シャントの血栓形成の予防に対するsulfinpyrazoneの有効性を検討。
デザイン ランダム化,プラセボ対照,二重盲検。
セッティング 単施設。カナダ。
期間 追跡期間は6ヵ月。
対象患者 52例。動静脈シャントを造設した慢性血液透析患者。
【除外基準】シャントカニューレと血管との配置が不良な患者。
治療法 sulfinpyrazone 600mg/日(分3)投与群(24例)とプラセボ群(28例)にランダム化。一部の患者は試験開始時に経口抗凝固薬warfarinまたはdicumarolを投与しており,残りの一部の患者では試験中に投与開始。プロトロンビン時間を正常の1.5倍に維持。
追跡完了率 表記なし。
結果

●評価項目
血栓形成は,sulfinpyrazone群12例(50%),プラセボ群24例(86%)であり,sulfinpyrazone群において有意に抑制された(p<0.01)。血栓イベントの発生はsulfinpyrazone群26件(0.18件/人・月),プラセボ群127件(0.76件/人・月)であり,sulfinpyrazone群で有意に減少(p<0.001)。各症例における血栓形成の発生数は,プラセボ群では0~14件(平均4.6件),sulfinpyrazone群では0~5件(平均1.1件),3ヵ所以上の血栓形成が認められた例はsulfinpyrazone群で1例,プラセボ群では16例であった。両群ともに,血液透析の実施期間と血栓の発生率間に相関関係は認められなかった。
試験前から経口抗凝固薬を投与していた23例における血栓イベント発生数は,sulfinpyrazone群0.23件/人・月に対し,プラセボ群0.90件/人・月と有意差がみられた(p<0.01)。経口抗凝固薬非投与例では,sulfinpyrazone群0.16件/人・月,プラセボ群0.59件/人・月であった(p<0.01)。試験期間中に抗凝固薬投与を必要とした患者は6例(sulfinpyrazone群1例,プラセボ群5例)。動静脈シャントの取り替え率はsulfinpyrazone群で低く,静脈シャントでは有意差が認められた(sulfinpyrazone群16% vs プラセボ群48%,p<0.05)。

●有害事象
有害事象は両群ともに発生は少なく,2例(各群1例)で消化不良が生じ,3例(sulfinpyrazone群2例,プラセボ群1例)で消化管出血が認められた。投与中止はプロトロンビン時間が異常に延長した1例のみ(sulfinpyrazone群で抗凝固療法を試験開始時に行った患者)。

文献: Kaegi A, et al. Arteriovenous-shunt thrombosis. Prevention by sulfinpyrazone. N Engl J Med 1974; 290: 304-6. pubmed
関連トライアル Fiskerstrand CE et al, Gröntoft KC et al, Gröntoft KC et al, Harter HR et al, Steele P et al 1978
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