循環器トライアルデータベース
HOME
トライアル検索
フリーワード検索
*検索について
トライアル名検索
1 4 5
A B C D E F
G H I J K L
M N O P Q R
S T U V W X
Y Z
疾患分類検索
薬効分類検索
薬剤名検索
治療法検索
キーワード検索
掲載トライアル一覧
学会情報
meta-analysis, pooled analysis
日本のトライアル
Trial Review
用語説明
Topic
開設10周年記念座談会
開設5周年記念座談会
AHA2012/ISH2012特別企画
このサイトについて
ライフサイエンス出版のEBM関連書籍
meta-analysis, pooled analysis
← meta-analysis, pooled analysis のトップページへもどる
アポリポ蛋白(a)と血管疾患リスク
meta-analysis

小分子apo(a)アイソフォームを有しているものは大分子アイソフォーム保有例に比べ,冠動脈疾患,脳梗塞のリスクがおよそ2倍に増大する。小分子apo(a)アイソフォームの影響がLp(a),その他の危険因子と独立しているのかは,さらなる研究が必要である。
Erqou S, et al. Apolipoprotein(a) isoforms and the risk of vascular disease: systematic review of 40 studies involving 58,000 participants. J Am Coll Cardiol. 2010; 55: 2160-7. PubMed

コメント

Lp(a)が心血管イベントの発症リスクになるという発見は古くからなされていたが,1987年にapo(a)のプラスミノーゲンに相同性のある分子であることが分かって以来,基礎的な研究がなされてきた。ひとつは,もちろん血液凝固に対する阻害作用であるが,それ以外にもTGFβを介した平滑筋細胞の増殖促進作用,血管内皮細胞の接着分子発現作用など,次々に動脈硬化発症メカニズムとの関連が証明されてきた。一方で,apo(a)には,プラスミノーゲンに存在するクリングルIVの数による分子量の差が表現型として異なることが証明され,小分子と大分子では,合成分泌の差があり,それにより血中濃度が異なることが判明してきた(小分子Lp(a)のほうが血清濃度が高い)。さらに小分子apo(a)に特有の作用があり,抗酸化作用なども存在することが判明し,小分子apo(a)自体が動脈硬化発症予防効果があるのか議論となるところであった。
本メタ解析は,apo(a)の分子量(クリングルIVの数が22以下とそれ以上とに分けて,それぞれ小分子,大分子としている)と心血管イベントとの関連をみた,きわめて異色の検討である。その結果,小分子apo(a)のほうが大分子apo(a)より,2倍心血管イベントの発症頻度が高いことが示された。これは,以前に発表されたLp(a)の濃度以上に強い説明因子になっていることから小分子特有の効果とも考えられるが,やはり,Lp(a)の濃度で調整した結果が必要となろう。(寺本


目的 リポ蛋白(a)(Lp[a])は低比重リポ蛋白(LDL)粒子に糖蛋白質分子アポリポ蛋白(a)(apo[a])が結合したもので,apo(a)の構造はプラスミノゲンと相同性を示す。
2009年にEmerging Risk Factors Collaboration (ERFC)は36の前向き試験・12万6,000例を超える症例での検討の結果,Lp(a)は総コレステロールなどの従来の危険因子とは独立して,冠動脈疾患(CAD)および脳卒中リスクと関連すると発表したが,その関連は限定的とするむきもある。一方,apo(a)アイソフォームサイズと血管疾患のリスクが関連するという報告も多い。
そこで,apo(a)アイソフォームとCAD,脳卒中の転帰のエビデンスを明確にするために,40試験のシステマティック・レビューとメタ解析を行った。
対象 5万8,334例(対象1万1,396例,対照4万6,938例):apo(a)アイソフォームとCAD,脳卒中との関連を1970年1月-2009年6月に発表した40試験。
◆背景:平均年齢56歳,男性57%。
実施国(欧州27試験;東アジア5試験;南アジア3試験;中東2試験;アメリカ2試験;多国共同1試験)。
apo(a)アイソフォームのサイズを電気泳動で確認したのは36試験,うち15試験がアポリポ蛋白B100に対するapo(a)ゲル移動速度を比較し,17試験がクリングルIV-2(KIV2)の繰り返し数を,4試験がapo(a)の分子量を測定した。
方法

MEDLINEをシステマティックにリサーチ。
血管疾患,apo(a)アイソフォームに関連するMeSH term(“cardiovascular”,“lipoprotein(a)”,“protein isoforms”),フリーテキスト(“apolipoprotein(a)”,“isoforms”,“coronary heart disease”,“stroke”)で検索した。
トライアル選別基準は,1) 幅広い人で検討している(併発疾患,心血管疾患の危険因子[末期腎疾患,糖尿病,高LDL-Cを除く]を有している症例でのトライアルの参加者は選ばない),2) 十分な記述のあるapo(a)の測定分析を使用している,3) CAD(心筋梗塞[MI],狭心症,冠動脈狭窄,血行再建術),あるいは脳梗塞(認められた基準[WHOあるいは同様の基準]によるMI,定量的冠動脈造影による狭窄,1枝以上の≧50%狭窄,あるいは脳画像による脳梗塞)の記録のあるもの,4) 血管疾患のオッズ比を算出できる結果が得られているもの。後ろ向き・断面研究は可とした。

結果

30試験では統一的な臨床像や分析的にCADと評価できるCADも用いて評価した(CAD発症7,382例,対照8,514例)。
変量効果モデルによるCADのRR(apo(a)のサイズ;小 vs 大*)は2.08;95%信頼区間1.67-2.58,fixed-effect(固定効果)モデルでは,1.88;1.74-2.04。
 * クリングルIV-2≦22繰り返し vs >22繰り返し,あるいはapo(a)分子量<640kDa vs≧ 640kDaに対応する
Lp(a)調整後のRRを報告したのは3試験(CAD発症463例,対照298例)で,RRは調整前2.26;1.13-4.54,調整後は1.48;0.97-2.26へ低下した。また,これらの試験には大きな異質性がみられた(I 2=85%;80%-89%)。異質性の大半は,研究室での方法や解析法の違いによるものであった。
6試験が表現型解析により脳梗塞(発症718例,対照1,637例)のRRを出した。RRは2.14;1.85-2.97,固定効果モデルでは2.35;1.86-2.97。やはり,異質性がみられた(I 2=62%;8%-85%)。


▲pagetop
    --------------------
© 2001-. Life Science Publishing Co., Ltd
 
携帯版 EBM LIBRARY